超軽量動力機 及び ジャイロプレーン情報



                         平成8年9月3日発行

● 航空協会便り(初秋号)


                         財団法人 日本航空協会

                         航空業務室   第三部


日本マイクロライト航空連盟大谷会長
国際航空連盟賞を受章

例年、9月20日の「空の日」には航空功労者の表彰が行われますが、今年は日本マイク
ロライト航空連盟会長の大谷演慧氏が、スポーツ航空における長年の功績が認められて、
国際航空連盟からポール・テイサンデイエ賞が贈られることが決定いたしました。
このポール・テイサンデイエ賞は世界のスポーツ航空の振興と発展に貢献された人達に対
して国際航空連盟から授与されるものであり大変権威のあるものです。
この機会に、大谷会長のプロフィールをご紹介いたします。
大谷氏は、大正3年11月14日生まれの今年81歳の高齢でありますが、現役のマイク
ロライトのフライヤーであります。
氏は、昭和55年日本に初めてマイクロライトが導入された頃から飛行活動を開始され、
昭和58年には関西超軽量航空機連盟の前身である「西日本マイクロ機協会」を発足させ
平成元年には超軽量動力機の愛好者の全国組織設立に着手され、平成3年には「日本マイ
クロライト航空連盟」が発足し、副会長に就任されました。
平成7年には、新生「日本マイクロライト航空連盟」の会長に就任され、連盟組織の強化
に取り組まれ、この年「スポーツ航空宮原賞」を受賞されております。
また、氏は模型航空機界においても大きな功績を残されており、昭和12年我が国に初め
てエンジン付模型航空機による飛行が行われるようになって以来ほぼ60年にわたりこれ
を愛好し模型航空機の振興に尽くされてこられ、現在模型航空連盟の顧問、日本RC模型
グライダー協会会長、KMA(関西模型航空)クラブ連合会会長など、多くの団体の中心
になりその指導運営に当たっておられます。

新規認定安全管理者及び指導員の紹介

難関を突破して新規に認定を受けられた安全管理者と指導員の方々(7、8月認定分)を
御紹介いたします。おめでとうございました。(敬称略)

指導員  :詫間富男(パラ、北海道)、坂井信介(蛇面、北海道)、伊藤秀一(蛇面、北海道)
      三浦譲司(蛇面、大分) 、川口謙一(蛇面、熊本) 、福永元素(蛇面、福岡)
      久慈邦克(ジャイロ、北海道)

安全管理者:岡川博之(広島)、渡辺清一(北海道)、国分正紀(福島)、石川英男(福島)
      菅野勝之(福島)、齋藤泰順(北海道)、木原倫文(大分)、中村雄二(福岡)
      川口謙一(熊本)



         超軽量動力機/ジャイロプレーン

            機体自重制限の変更

かねてからの懸案事項であった超軽量動力機及びジャイロプレーンに係わる機体の要件が、
このたび運輸省航空局技術部航空機安全課より発行されるサーキュラーの改正により次の
ように変更になった。

新サーキュラー    :「試験飛行等の許可について」(TCL−118C−1−96)
            平成8年8月2日改訂

超軽量動力機の要件  :自重  単座機 180s以下
                複座機 225s以下
            翼面荷重  旧要件を大幅に逸脱しないこと
            燃料容量  旧要件を大幅に逸脱しないこと
            その他の項目は旧要件と同じ

ジャイロプレーンの要件:自重  単座機 180s以下
                複座機 225s以下
            燃料容量  旧要件を大幅に逸脱しないこと
            その他の項目は旧要件と同じ

これらの新要件は、暫定要件であり、この要件を満足していれば自動的に認定されるもの
ではなく、実際には一機毎に型式認定審査委員会において超軽量動力機又はジャイロプレ
ーンとして妥当であるかどうかが審査されて認定されます。
型式認定の審査方法は、今までと異なり試験飛行を含めてかなり詳細な検査(適合証明検
査)が実施されます。
これらの適合証明検査を行う検査員は、全国で33名の方が特別研修を受けて正式に「検
査員」として日本航空協会会長から任命されており、これらの検査員による実際の機体に
対する検査結果に基づいて、審査委員会においては一機毎に審査され型式認定が行われま
す。(別紙フローチャート参照)
この審査委員会は、大学の教授や航空局の検査官、機体メーカーの技術者などの有識者1
6名で構成されており、毎月一回審査委員会を開いて型式認定の審査を実施いたします。
これらの検査結果や審査内容を基にして、2年後(平成10年度以降)に新たに超軽量動
力機及びジャイロプレーンとしての要件が具体的に設定される予定であり、今回の暫定要
件はそれまでの間、審査委員会において認定される機体の大枠を定めたものです。
いずれにしろ、今まで自重の増加により超軽量動力機として認められなかった機体におい
ても今後は超軽量動力機として認められ、特典が与えられる道が開けましたので、型式認
定を受けて飛行許可を取得してフライトを楽しむようにして下さい。



   超軽量動力機/ジャイロプレーン型式認定申請のご案内

(財)日本航空協会の認定による技量認定により飛行を行う超軽量動力機/ジャイロプレーンは
、型式認定を受ける必要があります。

型式認定の申請は次の3種類となります。
 A:新型  (国産機・輸入機)
 B:改造型 (エンジンを交換・2舵⇔3舵に変更・陸上型機⇔水上型機に変更等)
 C:派生型 (エンジンスタート方式変更・フェアリングの追加取り付け・プロペラの変更・
        車輪⇔スキーに変更等)

型式認定の申請から認定取得までの手順は、下のフローチャートを参照下さい。
認定までの間に、原則として適合証明検査員による2回の実機検査(1回の試験飛行立ち会い
を含む)、その結果を基にした型式認定委員会の審査を経て、認定となります。

申請料は A:新型  70,000円
     B:改造型 40,000円
     C:派生型 40,000円 です
(上記料金には実機検査にかかる検査員の交通費用も含まれます)

申請に必要な申請書・添付書類等ご不明な点は、航空業務室第3部迄お問い合わせ下さい。



      事故について

今年、4件目の事故が発生しました

事故発生日時:8月8日10時30分ごろ
事故発生場所:三重県一志郡香良洲町の香良洲海岸
機    体:クイックシルバー式MXLU−R503型
人員の損傷 :操縦者が重傷

事故の概要
 同機は、香良洲町の香良洲場外離着陸場を離陸後まもなく、エンジンが不調と
 なり海岸線に不時着したところ、海岸に設置されていたテトラポットに機体が
 接触して転倒した。

教訓
 事故件数の4件は、昨年の発生ペースと同様ですが、死亡者数は1名増えて2
 名になっています。このままの状態で推移すれば昨年と同様に、今後6件の事
 故発生が統計上ではありますが予測されますので、操縦者みなさまの注意を喚
 起して下さい。
 飛行中にエンジンの停止又は不調により事故になった件数は、昨年も4件発生
 しています。エンジンが停止しても対応操作を正しく行えば、決して事故には
 ならないはずです。ましておや、幽明の境を異にするような悲しいことになら
 ないように、今一度、エンジン停止時の操作要領を復習しましょう。

エンジン停止時の操作要領

 1.速度を落とさない(機首を下げる)。
 2.飛行高度を考慮して不時着場を飛行経路前方に設定。
 3.樹木の上への不時着をためらってはいけない。林の上は不時着適地。
 4.人または物件を避けるため、止むを得ず旋回する場合には風上に向か
   って旋回をすること。
 5.ちゅうちょ狼狽しないで、自信を持って、腹をくくって操作すること。
   決してうまくやろうと考えてはいけない。安全を第一として実行。


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